たまゆらのなかのとわ

絵 声にならない声 本当の共時性

カツ 喝 勝

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/6/62/Tonkatsu_by_ayustety_in_Tokyo.jpg
トンカツ・wikiより



揚げ物は唐揚げしか作らない そう決めていた 何故なら 前日にジップロックに付け込む

そしてそのままジップロックの中で衣をまぶして揚げられるから 後片付が簡単なのだ

それでも揚げ物を作るのは嫌 何故なら汚れるからだ 

汚れる=仕事が増える と言う大義名分があった


そしてこのトンカツなるものが食べたい時は 惣菜かトンカツ屋のテイクアウトと決まっていた


我が家では十年以上 自家製のトンカツは食べていなかった(お、過去形だよ)


それに私は揚げたてのパン粉が苦手なのだ 粘膜質が弱い私は 揚げたてを臆する事無くかじった日には

痛い!! 痛いんです!! 高確率で翌日には口内炎が出来上がっている

パン粉の揚げものは慎重に 考慮し食べなければならない 非常にストレスの多い食べ物なのだ


トンカツはロースは苦手 ヒレでないと嫌だし そこの所も夫とは好みが違う

それにトンカツなんて珍しい食べ物でもないし そんなに拘らなくてよいと 長い間蔑ろしにていた

夫には無理を押さない優しい所がある その上に私は(トンカツに関しては)胡坐をかいていた

言い訳するなら 夫の好みは全て不健康なものばかりで 野菜は無くても良いとすら考えているから

その不健康な好物の中の一つくらい 抹殺する事は良い事だとも考えていたし

食べたければトンカツ屋のランチを食べれば良いので トンカツを手作りする事はしないと断言していた


そんな私を夫は やれやれと言った子どもを見る様な目で笑っていた 私より3つも年下なのに彼はいつも

私を子ども扱いする節がある その事に対するささやかな反抗でもあった(それが子どもなんだよ)

おっと この文脈ではただののろけになってしまう ここまで読まれた女性陣がおられたらきっと

心の中で舌打ちするだろう 落としどころは決めていないが オチは気にせず書く事にする


そのトンカツを10数年の沈黙を破り 何を思い立ったのか作ったのである

作ったと言うより 勝手に体が動く様に「ママ トンカツ つくる・・・」と無心で揚げ上げたのだ

自分でも理由を自覚する事なく 揚げ上げ 子ども達はやや浮足立っていたが 肝心の夫はそうでもなかった

そりゃ外で食べてるだろう… そんな風にも思っていたし だからと言って珍しくないでしょなんて憎まれ口も趣味じゃない 

夕餉は淡々と進み 夫はニッコリ「美味しかったね 揚げたては違うね」と相変わらずお上品


夫の反応にはもう言及しない そう! トンカツは美味しいのだ トンカツはただ豚肉に粉をまぶして

タマゴをくぐらせ パン粉を着せ 揚げさえすれば それだけで美味しいのだ! ただそれだけで!

なんと!味付けなどしなくて良いのですよ!? (あんたそこに今気がついたのか)←キートン山田風に

主婦の味方トンカツ! みんな大好きトンカツ!


そして昨晩はチキンカツにも挑戦 これがまた美味しい(涙)


こうして私の食生活が徐々に夫ナイズに侵食されてゆくのだ 私は何に負けたのだろう

料理の奥深さに敗れたのか 日々のおさんどんに負けたのか 味付けを気にしなくて良いという事と引き換えに

私は何を失ったのだろう・・・そして私は何に反抗していたのだろう


人は時に こうして遠回りしなければ 気づかない事もあるのだ(えらい遠回りだね)

また夫の目が笑っている 私はいつも孫悟空の気分なのだ 

50目前にして

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