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たまゆらのなかのとわ

絵と詩  文 音楽 本 在りのまま 

十一薬

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何時の判定日だったか 県の施設を兼ねた子ども相談所で ナンセンスな質問を受けていた

梅雨近く部屋は蒸し暑かった 事務的に進む時間の中 窓越しに見える子ども施設と

この悠々な職場とのアンバランスに意識を傾けた 職員がここに通うための自家用車はどれも真新しかった

自家用車からは幸せな家庭の様相が伺える 洒落たチャイルドシートに玩具たち

判定員の女性の細く白い首と手には お揃いの華奢な設えの金砂が上品に光っていた

上品さがその悠々さを引き立たせていた

窓越しの子ども施設も その背景とは裏腹に静かであった その静けさが時間を遅く感じさせていた

判定員が席を外したので 私たちはやや息苦しいその部屋の窓を開けた

窓辺に立つと こちらの建物とその施設の間の一面に ドクダミが花をつけている様が目に入った

合間を埋め尽くすほどの緑の下地に 白いドクダミたちは凛と見上げていた 

私は 一斉に彼らと目が合った様な感覚になり ハッとした

ドクダミは十薬と呼ばれるほどの薬効があると聞く 

だが私はその日 十一番目の薬効に中てられたのだ  

私はそっと窓を閉め 判定員を待った そして「ありがとう」とゆっくり挨拶し建物を出た